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工房便りダヨ〜ン^^;;
 

New Bridge の製作-2  サドルの製作

2010.6.18 
 
 

サドルを作ります。
同じ物が並んだ姿は美しいものがあります。今までは真鍮を削りメッキしていました。しかしこのサドル、そのままスケールダウンするとその厚みは0.3mmになってしまい、その構造から非常にか弱いものになってしまい役目を果たす事ができなくなってしまいます。しかも、ネジを切ることすらできません。理想的には硬い金属を使い、弦のテンションに耐えられるものでなければなりません。実物はその形により色々とありますが、今回は鉄製を目指します。しかもs45cと言う炭素鋼を使い、薄いところでもしっかりとネジが利き、見た目にも本物の輝きに近づけてみましょう。目標とする厚みは0.6mm±0.1mmです。ねじ山が潰れてしまわない範囲です。

 
治具の開発
 
 
本来サドルはプレス加工で作られています。プレス型から抵抗なく抜けるように、ある程度テーパーが付けられた曲線で構成されているのがわかります。確実に再現するために、両面から削り出す方法を取ります。6個分まとめて削り出ししちゃいましょう。仕掛けられた斜めのテーパーは、固定台となる治具を斜めに傾けることで角度を出します。いちいち測ってはいられません。確実に平行を保ち、一定の角度を保持するには、この方法しか浮かびません。とにかく沢山作らなければならないのですから。
 
 

SS400から作りました。ご覧のように斜めの傾斜が付けてあります。これにs45cを止め付け、精密バイスに銜えて作業します。

 

別の角度から。SS400とは、通常「生」と呼ばれる普通の鉄材です。炭素は混入していないため、焼きを入れることはできません。ですが、このような治具を製作するにはとても適した材といえます。値段も真鍮から比べれば遙かに安く手頃です。

 
躯体は2mmの六角頭ボルトで固定します。写真は既に裏側の加工が終わっています。これから一端取り外し表側を加工しなければなりません。本来であれば作業の途中で取り外すことはタブーです。取り外すことにより狂いが生じてしまうからです。しかし、今のところこの方法しか加工する術はありません。あとは実物同様にプレス加工するしかないでしょう。
 
精密バイスにとりつけた状態です。分かりづらいのですが、バイスに斜めの状態で取り付けられているのがおわかりでしょうか。写真は既に彫り作業が終わり、後は切り離すだけです。
 
サドルの分離
 
 
切り離すために1mmのミリングでギリギリまで削り込み、カットの用意をしました。
 
  辛うじてまだくっついています。s45cはとにかく硬いです。真鍮の作業に慣れていることもあり、機械の鋼製の問題もありますが、ミリングビットが欠けやしないかと心配になります。
 
糸鋸で切り離します。糸鋸の刃も直ぐにヘタってしまいます。まだ激しくバリが付いています。ネジを付ける側の内アールはまだ付けられていません。これからひとつづつ仕上げていきます。
 
内側のアールを仕上げ、ネジ穴を明ければ取りあえず作業は終了です。ネジの直径は1mmです。一個に付き3カ所のねじ切りです。タップが折れやしないかと気が気じゃありません。裏返しての作業になるため、必ず誤差が現れるだろうと考えていましたが、なんとか上手く行ったようです。
 
研磨組み立て
 
  高さ調節用のネジは、1mmのボルトの頭をカットし0.2mmのスリ割りフライヤーでマイナスネジを入れます。バネも作り、サドルも磨き込みます。鉄本来の輝きがでてきました。それにしても小さいです。マッチ棒の頭と差ほど変わりません。
 
  ひとつづつ仕上げ取り付けていきます。真新しい金属の輝きがたまりません。比べるものが無いので実物に見えてしまうでしょう。^^;;
 

この後、2セットを仕上げるのが限界でした。案の定ミリングビットが欠けてしまい、作業を中断しなければなりませんでした。s45cは硬いです。慎重に作業をしているのですが、卓上ミリングマシンが小型でもあることから、回転軸の鋼製が今一悪く、振動やブレが生じビットが欠けてしまいます。炭素鋼の加工には不向きなのでしょうか。

次回は、レバースイッチを作ります。無可動(スイッチレバーは作動する)用に、そのアクションだけを機能したオリジナルの構造です。

 

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